「6000000000個の缶飲料」町をかえたマリーとF組のこどもたち
                       (著者 今泉みね子,合同出版)
母親に愛されず自分の殻に閉じこもるようになったマリーは、ヨハネス・クッレン学校の特別学級「F組」に通うようにリました。F組には、マリーのほかにも、さまざまな悩みを持つこどもたちがいます。ある日、シュバイゲルト先生が、「缶飲料をへらそうコンクール」への参加を提案しました。「なぜ、缶がいけないの?」とたずねる子どもたちを前に、先生は、ドイツでは、1年間に60億個の缶入り飲料が飲まれ、その量は、つなげると地球16周にもなることを話します。驚いた子どもたちは、少しずつ環境のことも勉強し、コンクールへの参加を決めます。住所と名前を書くのさえ何十分もかかり、人と話すことが苦手なマリーたちが、手紙を書いたり、署名を集めたりと「自分たちにできること」をしていきます。マリーたちの行動に、学校や町が、変わっていきます。そして、マリーたち自身も生きることの意味を知り、成長していくのです。
推進員の感想
この物語は、南ドイツで実際にあったことを参考に書かれています。日本では、自動販売機で缶飲料やペットボトルの飲料を買うことに抵抗を感じない人が多いと思います。一つの缶にどれだけのエネルギーが使われているのでしょう。またリサイクルにも多くのエネルギーが使われます。F組のこどもたちは、リタ−ナルびん(洗って何度でもつかえる)が、環境だけでなく、人の雇用の面でも大切なことだということまで考えています。そして、いっしょうけんめいに取り組むことにより、馬鹿にされてきた自分たちの自信を取り戻していくのです。著者の今泉みね子さんは、あとがきの中で、「日本の子どもやおとなたちにも、『生きることにしらけないで』とよびかけたくなったのです。」と書いています。環境教育は「いのち」の教育でもあるのです。